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北海道身体障害者新聞(第696号)

   

「骨格提言をないがしろ」  障害者の声届かず

   ~障害者自立支援法に替わる新法の骨子を厚生労働省が 明らかにした。厚労省案は自立支
援法を廃止せず改正 し、新法とみなす為昨年八月に取りまとめた骨格提言 が殆んど反映されて
おらず各方面から反発の声が相次 いでいる~
 
 

 障がい者制度改革推進会議総合福祉部会では昨年提言した六十項目のうち反映されたのは三項目
だけと指摘。
 全国盲ろう者協会理事で同部会委員の福島智東大教授は「弱者の立場に立って政権を取ったはず
だ。」と民主党の姿勢に疑問をぶつけた。改正案の中身についても骨格提言とはかなりの差があり、
特に、社会適応力などが重視されずに分類され、自立支援法施工時に障害者の実情に沿わない
サービス提供につながる恐れがあるとして問題視された「障害程度区分」は、「法施行後五年をめどに
検討し必要な処置を講じる」にとどまり、事実上先送りされた。さらに、障害者が地域社会で共生する
「地域移行」に向けた策も具体性に乏しい。
 こうした状況で、知的障害者を代表して障がい者制度改革推進会議の構成員の土本秋夫さん
(札幌ピープルフアースト北海道会長)は「一年以上にわたる今までの議論は何だったのか。政府は
部会が提出した骨格提言を、責任を持って法律に取り込んでほしい」としている。WT(民主党の障がい
者ワーキングチーム)でも「こんな案では障害者に説明がつかない」「廃止を強調すれば野党の賛成が
得られず法案が成立しない」など議員の意見もまとまっていない。訴訟団の主催で緊急フオーラムが
開催され、「廃止する約束を守って」と、元原告や支援者が全国から参議院議員会館に集まり一行は、

一、支援法を廃止すると明記た条項を設けた上で廃止する。

一、障がい者制度改革推進議福祉部会が まとめた骨格言を反映させたものにするこれらを国(厚労省)
   と国会に強く求めた。

 障害者の間で批判が起きているのは、違憲訴訟を通じ、原告の障害者らと被告の国との間で自立支
援法を廃止することが公文書で確認されたにもかかわらず、厚労省から自立支援法の改正で対応する
案が示されたため。二〇〇八~〇九年に十四地裁で七十一人が人権侵害だと起こした違憲訴訟は、
十年一月、訴訟団と国(厚労省)との間で「国は障害者の尊厳を傷つけた。反省を踏まえ今後の施策を
立案する。」「おそくとも十三年八月までに自立支援法を廃止し、新法を実施する。」などとする基本合意
文書を作成し、調印。訴訟上の和解が成立した際には、総理大臣が原告らに対面して陳謝した。
 こうした、手続きを経ていることから、弁護団長は「総理大臣や厚労大臣が国として明言したことが
守られないなら、国家として成り立たない。あの基本合意がなければ訴訟は続いていた」と強調している。

「障害者自立支援法」
 「二〇〇六年施工。身体、知的、精神、の障害ごとに分かれていた福祉サービスを一元化した。
サー ビス量に応じて原則一割を自己負 担する「応益負担」になったため、 障害が重い人ほど支払が
増えるとして反発した障害者らが各地で国を提訴。支援法廃止と新法制定を 条件に十年四月までに
国と和解。同十二月に改正法が成立し本年四 月から支払い能力に応じた「応能 負担」になる。」
 

平成二十三年度、通訳・介助員現任研修の開催

   【平成二十三三年度通訳・介助員現任研修が三月九日、札幌の道民活動センターに於いて、
全道各地から十九名の方が参加され、(社福)全国盲ろう者協会、村岡美和氏を講師に招き開催
されました。】
 
 

 概略は次の通り
 北海道身体障害者福祉協会が北海道から受託し、実施している「盲ろう者通訳・介助員派遣事業」は
今年で三年目となり、今回の研修には、北海道身体障害者福祉協会に登録されている全道四十名の
内、十九名の通訳・介助員の方が札幌はもとより、函館、旭川、帯広、白糠、等遠方からも参加
されました。
 開講式では、主催者である北海道身体障害者福祉協会、常務理事 泉 司より挨拶が
あり日頃の活動と遠方からの参加にも御礼を述べ、通訳・介助員派遣事業の現状と今後の課題と現任
研修の目的に触れ、講師の北海道障がい者保険福祉課、主任佐々木雅之氏(ささきまさゆき(と全国
盲ろう者協会、村岡美和氏(むらおかみわ)両名にお礼を述べ開講式がおわりました。
 午前最初の講義は北海道障がい者保険福祉課佐々木雅之主任から、障がい者福祉制度及び派遣
事業の概要をテーマに、地域生活支援事業の内容説明と、派遣事業の概要説明、障害者自立支援法
事例集の講義の後、質疑応答があり、予定の五十分を終えました。
 休憩後、通訳介助実習(実技)では、二人がペアとなり交代で通訳・介助員役と、耳栓、アイマスク、
ヘッドホン、デジタルプレイヤーを身につけた盲ろう役となり、病院の受診受付と、航空券の予約受付を
各々、実習、体験しました。
 その後、記入した受付表を見て、盲ろう者の希望通り記入されているか検証いたしました。
 午後からは、通訳介助場面の事例検討(演習)をテーマに場面面一内科受付、場面二診察室、
場面三薬局受付、の通訳・介助場面を医師役、受付役、盲ろう者役、通訳・介助員役を、全国盲ろう者
協会村岡美和さん他二名と北身協古舘氏が演じました。
 その後、全体で通訳・介助員の行動、正確な盲ろう者の意思伝達、医師の指示、受付、薬局でのやり
取りについて検証後、質疑・応答がありました。
 研修会最後は、意見交換会を実施。助言者として、村岡美和氏、北海道障がい福祉課東秀明主幹、
佐々木雅之主任、泉 司 常務理事が参加し、六名の方から、前もって提案があった要望事項につい
て、改めて内容の説明を頂き、各々助言者から回答のやり取りで活発な質疑応答となり、予定時間を
三十分オーバーして午後四時、通訳・介助員研修を終えました。
主な要望事項は次の通り
 病院、役所等の用事以外に話し相手なども認めてほしい。
 派遣依頼の予定が一月単位で前もって分かれば教えてほしい。
 盲ろう者通訳・介助員養成講座を地方でも開催してほしい、など。

 
   

盲ろう者通訳・介助員派遣事業の利用登録申請について

 

 あなたのご家族や周りに視覚と聴覚に重複して障害のある方はいませんか。北海道体障害者福祉
協会では、このような方に対するコミュニケーションや移動等の支援を行う「盲ろう者通訳・介助員派遣
事業」を無料で実施しております。
 是非、盲ろう者の方やご家族に、この事業を紹介して通院や買い物などで利用されるようにお伝え
下さい。
 なお、事前に利用登録が必要となりますので、登録手続きなどはお問合せ下さい。

■【問合せ先】■

  (社)北海道身体障害者福祉協会
  ★電話011―251―1551★
★FAX011―251―0858★
 
 
 
障害者社会参加推進協議会を開催
   平成二十三年度北海道障害者社会参加推進協議会(協議会会長赤坂勝(北身協会長))が、
二月二十八日(火)、札幌市内の道民活動センタービル会議室で開催された。
 この協議会には、身体、知的、精神の障害者団体や北海道、北海道労働局などから各委員
が出席して定例的に開催されています。概要は次のとおりです。
 
 

概  要
 当日は、佐藤三洋(さとうみつひろ)副会長(北海道知的障がい福祉協会常務理事)が議長となって
議題の協議が進められ、最初に北海道保健福祉部福祉局障がい者保健福祉課東秀明(あずま
ひであき)主幹から「平成二十四年度北海道の障がい者社会参加関連事業の概要」案の説明が、続い
て各障害者団体から「平成二十三年度障害者社会参加推進事業実施状況」についての報告が、最後に
北海道労働局職業安定部職業対策課 楠健太郎(くすのきけんたろう)障害者雇用担当官から「北海道
における障害者雇用状況」について説明がありそれぞれ協議、意見交換が行われました。
※ 北海道労働局から説明があった「障害者雇用状況」は、紙面の関係で来月以降に掲載予定。
 

   〜平成二十四年度の道の事業予算案固まる〜
 

【身体障がい者関係】

 

▼要約筆記奉仕員養成事業   一、七六四千円
▽点字・朗読奉仕員指導者等養成事業   一、五九六千円
▽手話通訳者養成事業   三、五三九千円
▽手話通訳者派遣事業   六四二千円
▽字幕ビデオライブラリー事業   二、〇八四千円
▽音声機能障害者発声訓練・指導者養成事業   二、五三九千円
▽視覚障害者情報提供等事業   二、〇八四千円
▽身体障害者補助犬育成事業   一五、八八〇千円
▽中途視覚障害者社会適応推進事業   二、〇〇〇千円
▽視覚障害者情報提供施設運営事業   六二、二二三千円
▽手話通訳者設置事業   五一、八三八千円
▼盲ろう者通訳・介助員派遣事業   二、七四一千円
 
【身体・知的障がい者関係】
▼身体・知的障害者生活訓練事業   七一二千円
▼ガイドヘルパーネットワーク事業   二八二千円
 
【身体・知的・精神障がい者関係】

▽障害者スポーツ振興事業   五〇、一六六千円
▼「障害者一一〇番」運営事業   二、二三〇千円
▽市町村地域生活支援事業   一、〇二〇、七六一千円
▼障害者社会参加推進センター運営事業   三、九一八千円
 
【知的障がい者関係】

▽知的障害者生活文化教室開催事業   一、三一五千円
 
【精神障がい者関係】
▽精神保健福祉推進員養成事業   二、八三三千円
▽精神障害者社会復帰支援事業   一、〇三〇千円
▽精神障害者家族相談員設置事業   一、六三一千円
▽精神障がい者地域生活支援事業   一一五、七四四千円
▽精神保健職親事業   九、三九〇千円
 
説  明
①▼ゴシック体の事業は、北身協が北海道から受託等で実施するものです。

 
   

■困りごと、悩みごとは「障がい者一一〇番」へ■

 

 電 話 011―252―1233
 F A X 011―252―1235

お詫び

 

「二月号短歌分に作者のお名前もれがありました吉川さんに大変失礼致しました。
お詫び申し上げると共に改めて掲載させて頂きます。」

   
 
 

文芸

  俳句
 

室蘭市 池内 満里子
達磨(だるま)軸眼(まなこ)鋭く冴え返る
煮(に)凝(こご)りに遠き家族の夢を見る
冬眠の亀目覚めずに日却(ひあし)伸ぶ


  短歌
 

滝上町 清水 美智江
よしあしはあれど若き日詠みし
         一途なりしよためらひのなく
病む足にすえたる灸よりゆらゆらと
         細き煙は佛間へ流るる
惚けかとは思ひたくなしされど
         又出かけし後に忘れ物二度
目覚むれば背を押しくるる亡き夫に
         感謝しつつ生かされゆかむ
この地にて生まれし吾れなり
         この地にて土に還らむ夕陽は赫(あか)し

室蘭市 池内 満里子
遠い夢追いかけながら近づけば
         悲しみだけの雪雲残る
つらい日も忘れて友は初孫の
         しぐさまねする子供のように
目覚め見る一夜で飾りし雪化粧

伊達市 吉川 次子
大腸の六時間余のガン手術
         堪(た)えたる弟(おとと)も秋の暮逝く
双子なる上の弟(おとと)がガンで逝く
         七十六と六月を生きて
火葬場は二日待ちとう安置室で
         冷凍業者は棺に番号を
火葬場で冷凍されたる弟の
         棺の番号息のみ見つむ
絶対に俺は都会で死にたくない
         下なる弟叫ぶがごとく
あの世へと旅立ちゆきし弟(おとと)には
         旅券代わりの火葬許可証
鬼は外子鬼もいるぞと夫がまく
         豆拾いては真似する二歳児

伊達市 吉川 次子(二月掲載分)
夫(つま)も娘(こ)も辰年生まれなり
         夫(つま)をまなかに元(がん)朝(ちょう)参り
ぢいちゃんと身丈も違う紬(つむぎ)の対(つい)
         オレも着たいと靴はきてゆく
暗い道足元までは見えないよ
         辰年三代そろいてゆきぬ
三歳児は(パパ格好イイ)と拍手
         せり町の六つの寺の鐘(ね)風に
窓空けて遠くに近くに寺寺の
         除夜の鐘聴く去年(こぞ)と今年の

お詫び
吉川様、二月号では大変失礼いたしました。
改めて掲載させていただきます。

  川柳
 

北広島市 本多 司
除染待つふるさと恋し春日和
凍(しば)れ死にさせる無情の都市砂漠
四十年後NOの原発頼る国
着メロのおもちゃのマーチ待つ携帯
趣味三昧(ざんまい)馬齢(ばれい)突っ張るのど詰まり

江別市 戸原 寿夫
雪深き町よりかかる夜の電話
湖は空より蒼し寒に入る
冬蘭の夕日逃さぬ白さかな
初雪をのせて渡船の発ちにけり
おもむろに残心を解く弓始
外に出よとばかりに跳ねて寒雀
追伸の一筆添えて寒見舞
老いらくの肩怒らせて鍬はじめ
たっぷりと日差しを受けて浮(うき)寝(ね)鳥(とり)

釧路町 加賀 貴
気象台ころころ変わる天気予報
もう一年復興遠く春おそい
生活苦の姉妹助けず区役所
介護士のまねは出来なくぐちこぼす
ひとりくらし早期発見して欲しい

 
 

文芸に投稿される方へのお願い
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3)投稿はできるだけ新聞発行月の前月末までにお願いします。
【宛先】
〒060-0002
札幌市中央区北2条西7丁目道民活動センタービル4階
(社団)北海道身体障害者福祉協会 宛