国の労働政策審議会は1月17日、男女間で差を設けている労働者災害補償保険(労災保険)の「障害等級」について、差を解消する方向での厚生労働省の見直し方針を「妥当」とする答申を厚生労働大臣に行なった。
現在、省令改正の手続きが進められているの、概要をお知らせします。
【概要】
業務上の事故で、頭や顔、首といった「外貌(日常的に人目に付く部分、外見)」にやけどや傷跡などが残った場合、労災保険から「障害補償給付」が支給されます。
その際、「労働者災害補償保険法施行規則」に定める障害等級表に基づいて障害認定が行われますが、現行規定では、障害が同じ程度でも男性は女性より低く扱われることになっています。
この規定について、昨年6月、「男女の障害等級に5等級の差を設けていることは違憲」とする京都地裁判決が確定しました。
これを受けて省内で内部検討した結果を踏まえ、障害等級の男女差の解消などを内容とする「労働基準法施行規則及び労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」を作成し、同年12月6日に労働政策審議会に諮問していた。
厚生労働省では、今回の答申を踏まえ、速やかに省令改正に向け作業を行い、平成23年2月1日付けで改正省令を施行する予定です。
(改正案の内容)
1 障害等級の男女差の解消
現在、男女別となっている障害等級について、男性の等級を女性の等級に引き上げるかたちで改正し、障害の程度に応じ男女とも同一の等級として評価する。
2 障害等級の新設
医療技術の進展により、傷跡の程度を、相当程度軽減できる障害を、新設する「第9級」として評価する。
平成23年度障害保健福祉関係予算案
政府は、昨年12月24日の臨時閣議で、平成23年度予算案を決定した。
社会保障費の自然増もあり一般会計の総額は92兆4116億円(平成22年度当初予算と比べ1124億円増)と過去最大となった。
このうち社会保障関係費は28兆7079億円(1兆4393億円(5・3%)増)となり、政策的経費に当たる一般歳出(54兆780億円)に占める割合が53・1%と、2年連続、その割合が2分の1を超えた。
なお、平成23年度障害保健福祉関係予算案については、全体で1兆1815億円と、対前年度比613億円増(5・5%増)となった。
障害福祉関係予算案の主な内容は次のとおり。
【主な内容】
1 障害者の地域移行・地域生活支援のための緊急体制整備事業(特別枠100億円)
障害があっても自ら選んだ地域で暮らしていけるよう、施設や病院から地域移行や地域生活の支援を充実するため、次の事業を緊急的かつ総合的に行う。
@ 地域移行のための安心生活支援(10億円・新規)市町村で障害者が地域で安心して暮らすための地域支援策を盛り込んだプランを作成し、夜間も含めた緊急対応や緊急一時的な宿泊等の事業を面的に一体的に行う体制を整備するなど。
A 精神障害者アウトリーチ(訪問支援)推進事業(7億円・新規)
B 地域で暮らす場の整備促進(83億円)地域移行支援の核となるグループホーム・ケアホーム等の地域で暮らす「住まいの場」の整備、生活介護、自立訓練、就労移行支援等の「日中活動の場」の整備を推進する。
2 障害福祉サービスの確保、地域生活支援、精神障害者施策などの障害者支援の推進(1兆1791億円)の主なもの
@ 障害福祉サービス(6342億円)障害者等が地域で暮らすために必要なホームヘルプ、グループホーム、就労移行支援等の障害福祉サービスを計画的に確保する。
A 地域生活支援事業(一部特別枠)(445億円)特別枠の「地域移行のための安全生活支援」と併せて、地域生活支援事業について、市町村等における事業の着実な実施や定着を図る。
なお、重度の視覚障害者の移動支援は、「同行援護」として障害福祉サービスにおいて実施(10月施行)
3 その他
平成22年12月10日に公布された障害者自立支援法等の一部改正法(議員立法)のうち、「平成24年4月1日までの政令で定める日」の施行については、以下のとおり。
@ グループホーム・ケアホーム利用の際の助成
平成23年10月1日施行。
(利用者1人につき月1万円を上限(市町村民税課税世帯を除く))
A 同行援護(重度視覚障害者の移動支援)
平成23年10月1日施行。
B その他の事項
平成24年4月1日施行
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